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研究内容

1 生殖免疫学と周産期感染症

妊娠母体は免疫学的異物である胎児・胎盤を許容しながら、母児共に感染性微生物から身を守る必要があります。妊娠時の感染症は流早産や胎児奇形、妊娠高血圧症候群や出生後の障害の原因となることがあります。母子感染の機序と予防を研究し、あわせて病原微生物由来の免疫調節物質が、新たな習慣流産治療薬となる可能性を研究しています。

Komine Aizawa et al. J Reprod Immunol. 2011 Dec;92(1-2):21-6
Komine Aizawa et al. J Reprod Immunol. 2011 Dec;92(1-2):21-6

2 新たなHIV/AIDS 結核ワクチンの開発

AIDSは抗レトロウイルス薬の進歩により長期生存が可能となりましたが,未だ確実な予防ワクチンや根治療法がありません。また、AIDS患者の末期に併発することの多い結核も無視することができません。私たちは遺伝子組み替えによるVaccinia-BCG プライムブースト法により,HIVや結核菌に対して有効な防御的免疫応答を誘導できるワクチンの開発を試みています。

Honda M et al. J Immunol. 2009 Aug 15;183(4):2425-34
Honda M et al. J Immunol. 2009 Aug 15;183(4):2425-34

3 新しい視点からのウイルス性胃腸炎を中心とした研究-アジアとの共同研究-

下痢症ウイルス(ロタウイルス、ノロウイルスなど)感染症は、世界では死亡の多い疾患としその対策が問題となっています。私たちは長年、これらのウイルスの遺伝子レベルでの疫学や診断法の開発(イムノクロマト法、Multiplex RT-PCR法など)を世界に先駆けて行ってきました。これからもアジアの共同研究者とともに、これらの研究に加え、さらにワクチンや治療薬の開発、細菌との同時感染などの研究を続けていきます。

Thongprachum A. et al., Infect Genet Evol., 13: 168-174, 2013. Chan-It, W., et al., J Med Virol., 84: 1089-1096, 2012

左 Thongprachum A. et al., Infect Genet Evol., 13: 168-174, 2013.
右 Chan-It, W., et al., J Med Virol., 84: 1089-1096, 2012

4 適切な抗微生物薬使用と薬剤耐性出現防止

20世紀前半の抗生物質の開発以来、感染症は薬剤でコントロールが可能という楽観論が支配しましたが、20世紀後半以降MRSAをはじめとする薬剤耐性が全世界で問題となっています。私たちはわが国と東南アジア諸国において、周術期の抗菌薬投与と術後感染の疫学調査、HIV垂直感染児の抗レトロウイルス薬耐性ウイルスの解析などを行っています。

Trinh QD et al., AIDS Res Hum Retroviruses. 2012 Oct;28(10):1305-7.Trinh QD et al., AIDS Res Hum Retroviruses. 2012 Oct;28(10):1305-7.
Trinh QD et al., AIDS Res Hum Retroviruses. 2012 Oct;28(10):1305-7.

5 古典絵画・古記録の医史学的解析

 古代彫刻やルネサンス以降の写実的な西洋絵画、わが国内外の古典的医療記録には多くの病的所見が描かれています。全世界の美術館や図書館の古資料を基に現代医学からモデルや画家の疾患を推理しています。

Hayakawa et al.Med Hypotheses. 2007;68(4):906-9
Hayakawa et al.Med Hypotheses. 2007;68(4):906-9

6 インフルエンザウイルス感染過程の可視化解析

 ウイルスは、宿主細胞に侵入し、その中で子孫ウイルスを作ります。この過程を解析することで抗ウイルス薬開発の役に立つ情報が得られると考えられます。解析手段は種々考えられますが、ウイルスが感染した細胞を生きたまま観察することは、有力な方法です。インフルエンザウイルス感染生細胞内でのウイルスタンパク質の挙動を追跡しています。ウイルスM1タンパク質が感染細胞核内で顆粒を形成することを見出しました。この現象は、これまで知られていないものです。顆粒形成には、ND10と呼ばれる核内構造物との相互作用が重要なようです。今後、この顆粒形成が感染過程進行に果たす役割を明らかにし、抗ウイルス薬開発の種にしたいと考えています。

Live imaging of influenza virus infection process